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行財政改革に挑む 地方自治は今
 

行財政改革の現場と問題点を探る


 愛知県知多半島の付け根にある人口39,219人の高浜市は、埼玉県の志木市と並んで全国から注目されている地方自治体です。
 小泉首相や竹中大臣も高浜市の行財政改革を高く評価しており行財政改革の先進事例として紹介しています。
 今回行政視察で高浜市と豊川市の行財政改革への取り組みと名古屋市有松の「有松絞り」を中心にした街づくりを視察してきました。
 この機会に皆さんにも先進自治体の行財政改革の実例と問題点を知っていただきたいと思います。

高浜市の行政改革の実例 ←ここをクリック 
豊川市の行政改革の実例 ←ここをクリック

 高浜市、豊川市を訪問して感じたのは、別府市の行財政改革への取り組みがいかに遅れ、小手先だけのものか実感しました。
 高浜市総合サービス株式会社の深谷総務課長は市からの出向ですが「給与の違う正規の職員と株式会社の社員が同じ仕事をしているのを見て複雑な思いになる」と述べていました。


行財政改革への取り組みでどのような問題点があるのか

直営「公」と委託「民」の全国的な調査による部門ごとのコスト比較を見ていきます。

1、ごみ収集
可燃ごみ収集について、直営と委託のトン当たりの経費を比較してみると
   直営 18,389円
   委託  8,292円
   委託/直営×100=44.6%

不燃ごみ収集について、直営と委託とのトン当たり経費を比較してみると
   直営   40,299円
   委託   21,825円
   委託/直営100=54.2%

上記の実施状況からも委託は直営の半分の経費でごみ収集ができています。


2、直営の経費はなぜ民間に比べて高いのでしょうか
直営が委託に比べて2倍以上の経費がかかっている要因は働き量に大きな差があるからです。
働き量(清掃職員一人当たりの年間ごみ収集量)について直営と委託を比較してみると
   直営  477トン
   委託  957トン
   委託/直営=2.0倍

(民間は直営の2倍の量を集めています。)
 つまり、民間は直営の公務員に比べてほぼ2倍よく働くから経費も半分で済んでいます。
 働き量に差があるということは次の問題があります。
 1車当たり乗者人員は、民間が平均2.1人であるのに対して、直営は平均2.7人で3割り近く人員が多くなっています。
(勤務時間に差がある)
 直営は午前11時半頃、午後は3時半ごろ職場に帰るのに対して、民間は通常8時半頃から夕方5時ごろまでびっしり仕事をするとこがほとんどです。(積載量に差がある)
 委託業者の場合は、収集車に積載量を超えるほどごみを積載し、ごみを効率よく収集しようとする。

(なぜ、民間と公務員とでは働き量に大きな差があるのでしょうか)

 もっとも大きな要因としては、ごみ収集のような現業職員の給与、手当てが民間では能率給(手当て)がとられているのに対して役所では能率給のようなシステムになっていません。
 民間ではごみを収集する量に応じて給与、手当てが増額されるシステムになっており、それが働く意欲への刺激となっていますが
「役所では決められた給与で、やってもやらなくても同じ」これが両者の相違を生む大きな原因になっていると考えられます。


学校給食調理について

学校給食調理の民間と直営の経費比較 ←ここをクリック

 民間は直営(公)のおおむね半分以下の経費で仕事をしています。
 逆にサービス面では民間のほうが優れている、あるいは公:民の差がないという調査結果が出ています。
 公(直営)と民(委託や嘱託、パートなどの臨時職員)とでサービスが同じだとすれば税金を公(直営)にだけ2倍以上も投入するのは、著しく不合理、大変な税金の無駄遣いです。


≪行財政改革の課題と方向≫
 すでに多くの自治体では「直営」から経費の低い「委託、パート、嘱託」等への切り替えが行われています。
 しかし未だ、直営のまま運営されているものも相当あります。
改革を進めるに当たって重要なことは

(常にコストの面から行政を見ること)
 税金を効率よく使うという観点から、直営から委託や嘱託、パートなどの臨時職員、指定管理者制度、NPOやシルバー人材センターなどの活用へ切り替えていくことが必要ですが、その際、特に大事なことは、行政を常にコストの面から捉え、眺めていくことです。
 これまでは「この仕事にどのくらいの費用がかかっているのか」というコスト意識が希薄でした。
 これからは、あらゆる行政の領域において、まず、仕事にどのくらいのかかっているかを算定して、それを別の方式、例えば委託やパートなどに切り替えればどのくらいコストが下がるのか「数字で把握」検討し、
「住民サービスが変わらないのであれば少しでもコストの低い方式に切り替える」
それによって高齢者、児童、障害者福祉や教育、社会資本整備のため財源を生み出すことが必要です。

(コストの公開を)
「納税者に(直営か、民間か)を選択してもらう」
 これまでは行政がコストの公開をしなったために、住民も知ることができませんでした。
住民への情報公開でもっとも大事な「行政のいかかるコストを積極的に公開し」いずれの方式をとるのが「税金を効率よく使う」という観点から見て望ましいかを、納税者、住民にもよく考えてもらうことが必要です。

 たとえばごみ収集についてみれば、委託だと直営の44.6%のコストで、できる。
 したがって残り55.4%は別の新しい街づくりなどの事業の財源に使うことができます。
 だからその分だけ税金を生かして使えます。
そしてその翌年もこのような財源が生み出されてくるとすると、同じ税金を2倍、3倍に、さらに4倍、5倍にいかして使うことができます。

(これが直営のままだと)
 上述の55.4%分は全部ごみ収集のための経費として使われることになります。
 委託の場合には、55.4%分の税金が「生きたカネ」として使われるのに対し、直営の場合は、55.4%税金が「死にカネ」になってしまっているわけです。
 だから広く行政のコストを公表し、納税者とともに、税金の使われ方を考えることがぜひとも必要です。

(行政改革は文字だけでなく、数字で示すこと)
 これまで多くの自治体で取り組まれてきた「行革大綱」では「委託」とか「OA化」とか「電子自治体」とかの言葉、用語だけが並べられた作文のようでしたが、行政改革は「数字」で示すこと、特に「コストを」をどのように引き下げるかを示すことが極めて重要と考えられます。
 委託、嘱託、パートの活用によって生み出される財源はきわめて大きく、行財政改革の中で新たな財源作りという観点から見た場合、きわめて有効な効果の大きい手法だといえます。


 最後に総務省が16年3月に発表した「市区町村における事務の外部委託の実施状況」をご報告して報告の締めくくりとしたいと思います。
 15年4月1日時点における政令指定都市、中核市、特例市、人口10万人以上の市、特別区、町村「計3,213団体」の主な外部委託の実施状況は次のとおりです。


施設名 市区町村 10万以上の市  
一般ごみ収集 84% 90% 「別府は0」
学校給食調理 44% 74% 「別府は0」
水道メーター検針 82% 96% 「別府は委託」
道路維持補修 67% 93% 「別府は0」
保育所 60% 78% 「3園民営化」
体育館 75% 92% 「振興センター」
陸上競技場 75% 95% 「振興センター」
プール 76% 95% 「振興センター」
公民館 73% 81% 「別府市は0」
図書館 74% 91% 「別府市は0」
都市公園 91% 91% 「別府市は0」
参考資料、総務省、日本自治経営学会

 皆さんは全国3,213団体の委託状況と別府市を比較してどのような感想をお持ちですか。
 浜田さんは市長選挙のとき
「私が市長になったから行革が遅れたとは言わせない」
と大見得を切りましたが現実はどうでしょうか。
 浜田さんは市長として行財政改革を進める責任と改革を可能にする権力を市民から与えて貰っています。
 大変残念ですが、2年半以上経過したにもかかわらず将来の財政状況や行政組織の姿が見えてきません。
 「改革に取り組んだけれど」では市民の理解は得られません。
「市民が求めているのは改革の結果です」
 今回ご報告しました高浜市や豊川市、さらに進んでいる春日市、そして全国先進都市のモデルと言われている志木市
これらの市はどこも同じように
「市長の改革にかける情熱や信念が」行革先進市へと導いています。
 私は遅々として進まない浜田市長の行革への取り組みが「行革音頭」を歌っているだけにしか見えませんが、皆さんは現状をどのように判断されるでしょうか。

 お読みいただきありがとうございました。


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