質問事項
扇山ゴルフ場問題と穐好敏子さんに対する280万円の補助金について
■ 扇山ゴルフ場問題
私は浜田さんが市長に就任してから扇山ゴルフ場問題について6回質問しました。
その内容は
1 扇山ゴルフ場と市の関係をどうするのか
2 会員資格保証金は返せるのか
3 扇山ゴルフ場の民営化はどのようにするのか
4 扇山ゴルフ場への市有地貸付に問題はないか
など質問しました。
しかし、浜田さんから明確な答弁がなく今日の危機的状況にいたるまで、なんら打開策が見出せず、いたずらに時間だけが過ぎてしまいました。
私は九月議会で扇山ゴルフ場の経営問題について質問しましたので、問題点についてご報告します。
九月議会では扇山ゴルフ場に対して「市から6億円を限度」として資金を貸し付ける議案が提出されました。
これは扇山ゴルフ場がクラブハウスなどの工事費を確保するために預かった、「会員資格保証金」一口400万円の273名から預かった「約11億円の返済」に当てるための貸付資金の要請でした。
しかし私は貸付の議案に「反対」しました。
それでその理由を次に明確にしたいと思います。
今回ゴルフ場に貸し付ける6億円は、別府市が「借金」して貸し付ける議案です。このような財政行為は「地方財政法」に基づいて行われます。「起債」は「借金」と説明します。
さて地方財政法で借金はどのような場合にすることができるのでしょう。
地方財政法4条の2では、
市が予算を編成しようとする場合は、その年度だけではなく、翌年度以降における財政の状況も考慮して、その健全運営を損なうことがないようにしなければならない。
とあります。
5条では
地方公共団体の歳出は借金以外の歳入を持ってその財源としなければならない。
ただし、交通事業、ガス事業、水道事業、災害応急事業費、地方債の借り換えのために要する経費などは借金をしてその財源とすることができる。
としています。
さらに5条2項では
「出資金や貸付金」とする場合借金をすることができる。
と定めています。
では借金をする場合にどのような規制があるのでしょうか。
1 |
借金は自治体の行政目的に合致しなければならない。 |
2 |
借金は住民の「公益」に資するものでなければならない。 |
3 |
「経営の悪化が懸念される企業」に対する出資、貸付は、「健全な自治体経営」を損なうものであるから禁止されるべきである。 |
4 |
どうしても、そのような出資、貸付が「公益上必要」な場合には、経営悪化の懸念を秘匿すべきではない。 |
地方財政法から見ればゴルフ場は「公益性が低く」しかも「経営悪化が事実で」公金貸付はできないと解釈することが妥当です。
賛成できない理由として
1 |
ゴルフ場は公益性が極めて低い。 |
2 |
ゴルフ場はすでに倒産状態である。 |
3 |
扇山ゴルフ場は株式会会社として運営しており経営破たんの責任は取締役が負うべきである。 |
4 |
別府市の財政状況はきわめて深刻で、積立金「基金」を取り崩しながら財政運営をしている。 |
その基金も21年度にはなくなり、その後の財政運営の見通しも立っていない状況です。
上記の理由から扇山ゴルフ場に対する6億円の貸付に私は反対しました。
つぎに、扇山ゴルフ場の歴史を見ていきます。
「扇山ゴルフ場株式会社と経営陣は」
1977年4月に別府市が51%出資して株式会社を設立、その後歴代の市長や助役が会長、社長を歴任し、取締役には数名の議員取締役が名を連ねて経営をしてきました。
ゴルフ場は市職員OBの天下り先で、中にはゴルフをしないOBまで含まれていました。
扇山ゴルフ場の利用者は、昭和48年の49,391人を最高に減少しています。
平成2年から11年まで利用者も横ばいでしたが、12年から大きく減少し続け、16年度は3万人を割りこみ減少に歯止めがかからない状況です。
「ゴルフ場会員と会員権とは」
ゴルフ場はどなたでも利用できますがゴルフ場の会員となって利用する者は、ゴルフ場の会員権を取得しなければなりません。
その種類は個人会員、法人会員、条件付会員とビジター「一般利用者」に分けられます。
今回大きな問題となっているのは、クラブハウス新築のとき「正会員追加募集」で集めた資格保証会員のことです。
普通ゴルフ場の会員権は会社が倒産すればその効力を失いますが(再建の仕方によって違いはあります)扇山ゴルフ場が「追加募集」で集めた資格保証会員と他の一般会員とでは大きく違う内容となっています。
市民の中には「会社が倒産すれば会員権は紙切れ」になるのは当然、とする意見がありますが果たしてそうでしょうか。
「会員資格保証金とは」
新クラブハウス建設のときに扇山ゴルフ場は資格保証会員(正会員)を募集しています。
募集内容は次のとおりです。
「会員の種類」 |
正会員(個人、法人)1口1名の記名方式 |
〔募集会員数〕 |
第1次募集 |
300名 |
〔募集金額〕 |
会員資格保証金 |
400万円 |
|
会員登録料 |
50万円 |
*会員資格保証金はご入会後、10年間据置(無利息)とさせていただきますが、据置期間後満了後は、退会希望時にご請求いただければお返しいたします。
入会申し込み先 株式会社 扇山ゴルフ場
資格保証金の会員と他のプレイ会員との基本的な違いは、資格保証会員には「10年後に400万円返金」すると約束して建設資金を集めていることです。
「扇山ゴルフ場が倒産した場合別府市の責任は」
株式会社は商法の定めに基づくものです。
では会社が倒産した場合51%過半数株を所有している別府市の責任は商法上ではどのようになるのでしょうか。
商法200条では「株主責任」について次のように述べています。
株主は、「会社に対して持っている株式の引き受け価額だけの責任」を負うだけで、それ以上の責任はない。
とあります。
すなわち扇山ゴルフの場合に置き換えれば、51%の株を所有している別府市は51%の株式相当額の損失をすればそれ以上の責任は負う必要がないと商法は定めているわけです。
「では別府市の責任は問われないのでしょうか」
当然のことですが別府市の責任はあると考えるべきでしょう。
ゴルフ会員権を買った理由として
1 |
別府市が51%を所有しているから会員となった。 |
2 |
別府市が51%を所有して経営しているから安心して会員になった。 |
3 |
議会からも取締役が出ており、経営状況についてもチェックしてくれるものと思っていた。 |
4 |
市有地の上に建物が立っているので経営危機のときは、別府市が対応してくれると思った。 |
5 |
市関係の人から勧められた。 |
6 |
別府市とゴルフ場が一体と思うに十分な営業活動が新規会員募集時にあった。 |
上記の理由から別府市を信用して「会員」となった方が大部分だからです。
「次に別府市の法的責任について考えてみます」
市は株主や取締役としてどのような立場にあるのでしょうか。
1 |
別府市は株式会社 扇山ゴルフ場の筆頭株主(51%)で株主総会ではすべての決定をすることができる立場にあった。 |
2 |
業務を行う取締役会のメンバーに市長はじめ、助役や議員がなっており、取締役会の行う議案決定に大きな影響力を持っていた。 |
3 |
別府市が、今まで扇山ゴルフ場の株主総会や取締役会を実質支配してきた。 |
以上のことからもお分かりのように、「別府市と議会関係者」が中心となって株主総会や取締役会を実質支配してきました。
ですからゴルフ場にかかわってきた市長や助役、議員の責任は大変重いものがあるといえるのです。
次に、商法では取締役(市長や助役、議員)の責任についてどのように定めているでしょうか。
「株式会社は所有と経営を分離した制度です」
出資者である株主が「株主総会」で、経営を担当する取締役を選任します。
これによって取締役は「取締役会という会社の業務意思を決定」する合議体の構成員という地位に就きます。
取締役会では、法人としての会社を代表する「代表取締役」を選任して、職務の執行を監督します。
では「取締役」は株主や会社に対してどのような責任があるのかみていきます。
商法254条の3では、「取締役の忠実義務」について次のように定めています。
「取締役は法令や定款に定められていることならびに株主総会の決議を正しく守って、会社のために取締役としての職務を忠実に遂行する義務」がある。
としています。
260条では取締役の権限について、次のように述べています。
「前段略」一般に日常的な会社業務の執行について、代表取締役に一任しておくことは差し支えないが「取締役会」には代表取締役の業務執行を「監督する権限と責任」がある。
したがって、社長の(代表取締役)放漫な独断的経営を放置していた場合には、取締役会についても責任を問われる場合があり、この場合取締役会を構成している各取締役の責任を問われる場合が出てくることとなる(266条の3)
具体的に取締役会や取締役の責任についてみていきます。
資格保証金の返金についての私の質問に対し、助役は次のような驚くべき答弁をしました。
「募集当時から扇山ゴルフ場は400万円を返すための財政措置は今まで一度もしたことがない」(すでに新聞報道されています)
1 |
10年後に400万円返す約束をしていながら、10年間なんらの返金の財政措置をしていなかったことの責任 |
2 |
経営状況の悪化で400万円の返金ができないことの説明責任 |
3 |
取締役会の経営改善に向けての取り組みの責任 |
4 |
松くい虫に対応しなかったため扇山ゴルフ場財産の損失責任 |
5 |
利用者増加への取り組み不足の責任 |
今回、特に問われているのは取締役「市長、社長や助役、議員」の責任です。
松くい虫被害は誰が松を見てもその状況が広がっていることが確認できます。
400万円の資格保証金についても10年後に返金することを約束して預かった保証金です。
当然「返金措置」や「松くい虫駆除」をしなければならなかったのに、その措置を怠ったのは取締役の忠実義務違反といえます。
次に経営責任についてみていきます。
市長は自らの経営責任を問われていることに対し「過去の責任を論議してもプラスにならない」「過去を振り返るより、現代を乗り切ることが急務」との考えを示しました。
さらに、市長は「市がゴルフ場の経営から手を引くことで再建のへの希望が出てきた。市の責任は十分果たせたと思う。市でできることはこれ以上、何もない」と記者に述べています。
私は正直「市長や平野社長」は273人の預託者や会員に迷惑をかけていながら、「自身の責任を果たして感じているのだろうか」思いました。
扇山ゴルフ場問題の最も重要な問題は「市長の経営者としての自覚と責任感の欠如」ではなかったでしょうか。
市に求められていることは、市が51%の筆頭株主に留まり、会社に対し早期に再建計画を作らせ、会員になってくれたゴルファーの期待に応えることだと考えます。
再建への道筋について、次のように考えます。
1 |
平野社長が経営責任を取って辞める |
2 |
会員から取締役を選出する |
3 |
預託者、一般会員、有識者(弁護士や税理士)、会社、市による再建会議の設置 |
4 |
会社が預託者「資格保証金者」や一般会員へ経営状況の説明を行う |
5 |
会社が預託者から返金猶予承認の取り付けを「期限付き」で行う |
6 |
再建会議による再建案の作成 |
7 |
預託者との合意文書作成 |
8 |
一般会員との合意文書作成 |
9 |
預託者、一般会員と再建協力誓約書提出 |
10 |
再建計画に基づく経営権譲渡の公募 |
今日の事態を招き関係者や市民に迷惑をかけたことの市の責任は大変大きなものがあります。
だから、「市は51%の筆頭株主」として可能な限り再建に協力しなければならない責任があります。
私がこのように考えるのは次のような現状からです。
取締役は経営について「説明責任」があるのに会員にはいまだに経営状況の説明がありません。
ですから一日も早く預託会員や一般会員と会社再建について真摯に話し合うことが必要なのです。
この問題から、代表取締役会長「市長」と「社長」が逃げていたと感じたのは私だけでしょうか。
関係者の努力と協力により、一日も早い再建を願っています。
■ 穐好敏子さんに対する280万円の補助金について
次にジャズピアニスト穐好敏子さんのジャズ生活60周年記念ツアーのうち、別府開催の事業費434万円のうち、ツアー補助金280万円に反対しましたのでその理由を明らかにします。
市が補助金を出すことのできる場合を地方自治法232条2項で次のように定めています。
普通公共団体は、その「公益上必要」がある場合においては、寄付または補助をすることができる。
ここで一番重要なことはジャズツアーの公益性の有無です。
公益性についてはいろいろの考え方がありますが、一般的には「社会全体の共通の利益」と考えるのが普通の解釈だと思われます。
では穐好敏子さんの60周年記念ツアーが「広く社会全体の利益に」に寄与することができるのでしょうか。
どのような角度から見ても無理があるように思えます。
穐好さんのジャズツアーは収益やジャズ普及を目的にしたもので、出演料はチケット販売や広告収入から出演料を払うのが当然です。
しかも、今回のツアーに対する補助金申請書が議会審査日までに提出されておらず、「実施主体や事業費」も明確になっていませんでした。
別府市の補助金等交付規則4条では「補助金などを申請しようとするものは、交付申請書に次の書類を添えて市長に提出しなければならない」と決められています。
今回の補助金申請はこの規則によってみるかぎり、次のようなミスがありました。
1 |
補助金申請書は提出されていない |
2 |
収支予算書も提出されていない |
3 |
コンサートの実施主体が決まっていない |
4 |
他の音楽活動「シャンソン、民謡、歌謡曲、フォークソングなど」に対する補助との関係 |
以上の4点を私から指摘を受けてはじめて準備に入るありさまでした。
お分かりのように穐好敏子さんのジャズツアーへの補助金の支出は地方財政法や補助金交付規則から見て、法適用や手続きで大きな問題があります。
またシャンソン、フォークソング、演歌、民謡などの公演が行われる場合同じように補助対象とするのか決まっていません。
それにもまして、3500人も会員がいる商工会議所に対する運営補助金900万円に対して、穐好さん個人の収益を目的にしたコンサートに280万円も支出することが市民の理解を得られるとはとうてい思えません。
市は昨年財政運営の適正化を図る目的で一律10%補助金のカットを実施したばかりです。
地方財政法や補助金交付のあり方について十分知っているはずの職員が、自ら法や規則に違反する行為を行おうとしています。これは絶対に許されることではありません。
このことについて議会では私ひとりが反対しました。
市民の皆さんはどのようにお考えでしょうか。
今号も最後までお読みいただきありがとうございました。
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